和歌山IR 統合型リゾートの区域整備計画案まとめ

和歌山IRの区域整備計画案が発表されました。合わせてパブリックコメントも募集されています。それでは詳しく見ていきましょう。

近藤雄一

和歌山IRの全体像

IR区域全体イメージ

南側から見たIR区域全体のイメージです。

和歌山県特定複合観光施設区域整備計画(案)より

次にエリア全体の配置です。左側のポルトヨーロッパ入口部分は、公園として整備されています。


和歌山県特定複合観光施設区域整備計画(案)より
(ピンク色は筆者加工)

左斜めからのイメージも公開されています。

和歌山県特定複合観光施設区域整備計画(案)より

次に、北側から見たMICE棟です。本棟より東側に位置しています。

MICE棟和歌山県特定複合観光施設区域整備計画(案)より

IR区域整備計画の説明動画

また、(2022年2月14日公開)IR区域整備計画の説明動画も公開されており、説明動画のスライドも公開されています。

IR利用イメージ

日本に住む人は(日本人・外国人居住者)は、IRカードの作成が必要となり、入場料6,000円(1回 最大24時間)がかかります。

連続する7日間で3回まで、28日間で10回までの入場制限があります。

また、20歳未満の人は利用できません。ちなみに、ドレスコードの設定もあるそうです。

IR(統合型リゾート)の中身

IR(統合型リゾート)の主な施設は、次のとおりです。日本のIRの推進法で、カジノを含む以下の施設を作ることが求められています。

  • カジノ
  • MICE施設(会議場・展示場)
  • 宿泊施設
  • 魅力発信施設
  • 送客施設

大規模な投資になりますが、カジノ事業で得た収益を、他の事業に活かすことで安定した運営を狙っているようです。

カジノ施設

カジノ施設は、IR施設の床面積の3%以下となっており、統合型リゾート(IR)の一部となっています。

カジノ利用者のみがカジノに入れる設計

カジノ利用者以外は、カジノ入場口を通過しないような顧客導線となっているようです。

ホテルやMICE施設、 客施設等はそれぞれ専用のエントランスやロビーが設けられており、他の中核施設へのアクセスにカジノ施設の入場口付を通過する必要がないよう、顧客動線を工夫

また、外部からカジノの中が見えないように配慮されており、過度な装飾は避けることで、不用意にカジノに行かないような設計になるようです。

外観については、本棟ロビーのデザインに調和するものとする一方で、外部からはカジノ施設内部が見えないようにし、カジノ施設が訪問目的でない顧客に配慮し、過度な装飾、デザイン、サイネージを避ける。

カジノ 4つのエリア

カジノは、1階(1階メザニン)・24階・25階に配置されます。専用のエレベーター・エスカレーターを設けることで、1つの施設として運営されます。

1階メザニンは、おそらく1階中2階で、階と階の間の意味でしょうか?

  • マスゲーミング・エリア(1階)
  • プレミアムゲーミング・エリア(1階)
  • VIPゲーミング・エリア(1階メザニン)
  • VIPゲーミング・エリア(24、25階スカイカジノ)

マス<プレミアム<VIPの順に、掛け金が大きくなっていきます。

マスゲーミング・エリアは、掛け金が少額で、アミューズメント志向の強いゲームが多いようです。私が行くならこのエリアに行きたいです。

設置台数は、テーブルゲーム約450台、電子ゲーム約2,500台となっています。カジノに設置できるゲームも施行規制案で決まっているようです。

カジノ管理委による規則案によると、認められるゲームは▽バカラ(2分類)▽トゥエンティワン(4分類)▽ポーカー(8分類)▽ルーレット(2分類)▽シックボー▽クラップス▽カジノウォー▽マネーホイール▽パイゴウの9種及び、電子ゲーム機等。

「カジノで認めるゲームは9種21分類と電子ゲーム機」施行規制案でカジノ管理委が公表 – IAG Japan

詳しくは、次のサイト内、「カジノ管理委員会関係特定複合観光施設区域整備法施行規則」をご確認ください。

参考 関係法令等一覧 - カジノ管理委員会関係法令等一覧 - カジノ管理委員会

MICE施設(会議場・展示場)

カジノ以外で、IR(統合型リゾート)の目玉が、会議場・展示場です。

会議場とは、東京国際フォーラム(最大会議室 5012人)やパシフィコ横浜(最大会議室 5002人)のような施設です。

また、展示場は、東京ビックサイト(115,420m2)や幕張メッセ(72,000m2)のような施設です。

2021年6月 クレアベストの事業者提案資料では、Cパターンの「大規模な会議場」と「大規模な展示施設」を作る案になっていました。

今回の2022年2月 和歌山県特定複合観光施設区域整備計画(案)では、Aパターンの「極めて大規模な会議場」と「一般的な展示施設」を作る案になっていました。(6000人以上の)大会議室と(合計6000人以上の)中小会議室、2万m2の展示場です。

説明動画資料より

東京国際フォーラムを上回る規模の日本一の展示場を作ることが予定されているわけですね。

世界トップクラスのMICEに対応した規模

国際会議場 最大収容6,000人以上収容の大会議場と、合計6,000人以上収容の小・中会議室は、政府や国際団体が主催する国際会議から各業界・協会が主催する大型カンファレンスまで、世界トップクラスの会合について余裕をもって開催可能な国内随一の施設となる。

大阪のIRでも、最大会議室6000人以上の国際会議場、10万m2以上の展示場を計画案が出ていました。近畿圏で日本一規模の展示場が2つもできる可能性があります。これらの需要を埋められるのか、少し気になるところです。

国申請様式版に、2030年度の見込みの記載がありましたので、300名以上・1万m2以上の開催件数を見てみましょう。

  • 会議・Meeting(300名以上) 13件
  • 研修旅行 Incentive Travel (300名以上) 7件
  • 学会・学術会議 Convention (300名以上) 1件(ICCA基準)
  • 展示会・見本市 Exhibition (1万m2以上) 1件

和歌山県特定複合観光施設区域整備計画(案)<国申請様式版>より

大阪の場合、夢洲まで地下鉄が延伸され、交通アクセスも良さそうです。

和歌山の場合、関空まで1時間圏内ではあるものの、鉄道でのアクセスはありません。鉄道の場合は、海南駅からバスに乗り換えが必要です。やはり車がメインになってくるのでしょうか。時間にシビアなビジネスマンを呼び込めるのか、MICEビジネスを成立させることができるのか、気になるところです。

宿泊施設

ホテルブランドは「シーザーズ・パレス」で、総客室数2,500室以上、スイートルームは約24%を占める、とのことです。

説明動画用資料より

Wikipediaによると、ホテル客室数 第1位品川プリンスホテル(3,679室)・第2位 アパホテル&リゾート<横浜ベイタワー>(2,311室)となっています。総客室数2,500室がいかに大きいか分かりますね。

参考 日本の大規模ホテル一覧Wikipedia

また、シーザーズが運営するカジノホテル シーザーズパレスに宿泊したレビュー記事がありました。実際に運営されている高級ホテルを見てみると、イメージが湧いてきました。

参考 ラスベガスの滞在に便利なラグジュアリーホテル「シーザーズパレス」に泊まってみたトラベル Watch

魅力増進施設

魅力増進施設とは、日本の魅力を発信する施設で、劇場・演芸場・音楽堂・競技場・映画館・美術館・レストランその他施設のことを言います。中身については、和歌山県と民間事業者に任せられています。

和歌山IRの魅力増進施設は、テーマ「自然との共生」「人との共生」「歴史・伝統との共生」となっています。日本の文化を体験してもらうことで、日本のファンになってもらい、リピーターになってもらおうとしています。

和歌山IR 魅力増進施設和歌山県特定複合観光施設区域整備計画(案)より

参考 特定複合観光施設区域整備法施行令案等の概要首相官邸

日本の伝統文化に資する施設(4,300m2、717人収容)

日本文化のお祭り(縁日)の雰囲気のあるエリアで、日本食を堪能してもらい(レストラン)、伝統演芸などを楽しんでもらう施設です。「縁日にちなんだ伝統的建物での参拝による文化体験」や「アニメ・漫画などのデジタルアートの展示、NFTアートとしての販売」等も計画しているそうです。

日本の精神性を訴求する施設(2,800m2、467人収容)

高野山や熊野古道に関連する日本の精神性を体験できる施設で、日本庭園で、日本の精神性や四季を楽しめる体験エリアとなるようです。具体的には、日本の伝統的な茶室や、座禅などの日本の精神文化が体験できるようです。

温浴体験施設(3,400m2、566人)

外国人にも配慮した水着着用で、日本の温浴文化を体験してもらうスパ施設です。日本には温泉がたくさんありますが、外国人に合った設計にはなっていないため、ここで温泉文化を体験してもらおうとしているわけですね。

シーザーズは、ラスベガスのカジノ(シーザーズパレス)で、スパも開設しており、高い評価を得ているそうです。

シーザーズ・エンターテインメントが運営するシーザーズ・パレスに併設される温浴設備も完備するスパ(QUA BATHS SPA)は、過去に全米スパTOP100に選出されるなど米国を中心に高い評価を獲得してきた実績を有する

参考 Qua Baths & Spa Las VegasCaesars Palace

送客施設

日本の観光地を紹介し、IR来訪者を和歌山県内・全国の観光地に送り出す施設です。和歌山県内はもちろん、伊勢湾・紀伊半島・四国圏へ送り出す施設を目指すとのことです。

説明動画用資料より

その他の施設

カジノ・MICE施設(会議場・展示場)・宿泊施設・送客施設以外にも、様々な施設が計画されています。

IR整備法第2条では「国内外からの観光旅客の来訪及び滞在の促進に寄与する施設」としています。

  • プールドーム
  • eスポーツセンター
  • 超人競技センター
  • ナイトクラブ
  • スポーツ施設
  • 先端医療センター
  • 屋上農園
  • キッズ広場

説明動画用資料より

プールドーム(4000〜4500m2)

ドーム型プールなので、雨が降っても大丈夫な全天候型プールです。ガラス張りのドーム型の外観で、中は南国リゾートを演出するとのことです。

“昼はファミリー層を中心に、夜はナイトクラブのような”と説明がありました。夜は、ナイトプールのようなイメージでしょうか。

参考までに、シーザーズパレスのプールは、さらに大きい2万m2だそうです。公式サイトを見てみるとイメージが湧いてきますね。

参考 Garden Of The Gods Pool OasisCaesars Palace Las Vegas

eスポーツセンター(1500〜2000m2)

「eスポーツプレイヤーにとってのトレーニング施設兼用のゲーミング施設」とのことです。フォートナイト(TPS)やApex Legends(FPS)、スプラトゥーンや桃鉄やポケモンユナイト等も面白そうです。

たまにYoutubeでeスポーツ大会を見ることはありますが、ライブスタイルで見るとさらに楽しさが増しそうです。メタバースの流れでますますゲーム市場は活性化していくと考えられるので時代に合った施設ですね。

参考までに、2022年4月開業 東京タワーにできるeスポーツ施設は、5,600m2の施設です。

参考 新型コロナ: 東京eスポーツ、JTなど出資 若者世代と接点を創出日本経済新聞

超人競技センター(1000〜1500m2)

「身体機能の拡張を行った上でのスポーツのゲーミング施設」とのことです。私の頭の中は、「???」でした(笑)全く想像できなかったのです。

たぶん次の動画のようなイメージですね。HADOという競技です。ヘッドマウントディスプレイ・アームセンサーを装着してプレイでき、臨場感あるスポーツが楽しめるようです。

他にも、超人スポーツ協会には、様々なゲームが紹介されていました。

参考 競技一覧 | SPORTS超人スポーツ協会

ナイトクラブ(2000〜2500m2)

「アフターMICE利用や、若者のナイトエンターテインメントとしての利用を目的としたナイトラウンジ・クラブ施設」とのことです。

シーザーズ・エンターテインメントはラスベガス等で運営する多くの施設において、豊富なナイトクラブやラウンジの運営実績を有する。また、国内で過去40年以上のライブハウス運営実績を有するケントスグループにも当施設の運営を一部を委託する予定である。

和歌山県特定複合観光施設区域整備計画(案)より

スポーツ施設(2000〜2500m2)

「フィットネスを含むスポーツ設備や、各種スポーツアクティビティなどが行える施設」とのことです。フィットネスジムはもちろん、ジョギングを行うためのトラックや、マリンスポーツを行うエリアも用意するとのことで、幅広いスポーツを楽しめそうです。

先端医療センター(800〜1000m2)

「先端再生医療技術による未病、予防、美容をテーマに、健康寿命を伸ばすことに主眼をおいた医療施設」とのことです。この施設は、医療法人社団 宗仁会が運営主体となっているそうです。

屋上農園(2000m2)

「近代的手法も活用して、全ての季節を通してその時々の旬の野菜・果実等を収穫できるよう栽培する農園」とのことです。

キッズ広場(1000m2)

「世界各国の子供たちが一緒になって参画する知育プログラムを展開する施設」とのことです。株式会社フライトパイロットが運営主体となっています。

保育所(850m2)

来訪者・従業員のために、24時間営業の保育施設が完備される予定のようです。

参考資料

和歌山にカジノができるって本当?気になるIR(統合型リゾート)を調べてみたまとめ 参考 和歌山県特定複合観光施設区域整備計画(案)に対する県民意見募集について和歌山県 参考 Caesars Palace Las Vegas Hotel and CasinoCaesars公式サイト(英語)