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近藤雄一
目次
- これまでのIR(統合型リゾート)の取り組み
- 和歌山県の最新動向まとめ
- (2019/12/10追記)2020年春に事業者公募、秋に事業者決定
- (2020/02/20追記)県の実施方針案が公表されました
- (2020年5月14日追記)審査書類を提出した事業者はサンシティとクレアベスト
- (2020年6月1日追記)事業者の提案審査書類の期限が2ヶ月延長に
- (2020年10月10日追記)国への区域認定申請が9ヶ月延期に
- (2020年11月7日追記)2026年春開業を目指す
- (2021年1月7日)和歌山県の実施方針が発表される
- (2021年5月12日)サンシティグループが辞退
- (2021年6月2日)優先権者候補 クレアベスト
- (2021年7月20日)優先権者 クレアベストを選定
- (2021年8月25日)クレアベストと基本協定の締結
- (2021年9月30日)米カジノ大手シーザーズが参画
- (2022年2月9日)県民の意見を聞くパブリックコメント募集
- (2022年4月20日)和歌山県議会で、国への認定申請を否決
- 和歌山県の取り組み
- まとめ
これまでのIR(統合型リゾート)の取り組み
国の取り組み
国は、2016年12月IR推進法、2018年IR実施法を制定しました。全国で最大3カ所に、カジノを含むIR(統合型リゾート)ができる事になりました。カジノができるとは言っても、統合型リゾートのほんの一部、床面積3%以下です。統合型リゾートの一部がカジノっていうイメージですね。
2020年12月基本方針が発表されました。また、2021年10月〜2022年4月まで「区域整備計画の認定申請」が予定されています。
新型コロナの影響等で、日本のIR開業時期が、「2020年代半ば」→「2020年代後半」と後ろ倒しになりました。例えば、和歌山県の場合、当初は万博開催前の2024年の開業を目指していましたが、現在は2027年秋の開業を目指しています。そのため、3年ほど後ろ倒しになった形となりました。
政府は9日、カジノを含む統合型リゾート(IR)について、2020年代半ばを目指していた開業時期を「20年代後半」とする見通しを自民党国土交通部会などの合同部会で示した。政府は当初21年1月から始める予定だった自治体の申請を9カ月延期する方針を明らかにしており、こうした手続きの遅れから開業時期もずれ込むことになる方向だ。
カジノ以外には、MICE施設(国際会議場や展示施設)に加えて、劇場、演芸場、音楽堂、競技場、映画館、博物館、美術館、レストランなどが併設されます。まさにビジネスありの巨大な総合テーマパークですね。
各自治体の取り組み
現段階で誘致活動をリードしているのは、大阪府・市と和歌山県、長崎県だ。
大阪府・市は、2025年国際博覧会(万博)の開催を目指す大阪湾の人工島・夢洲(大阪市此花区)で、万博の前年までのIR開業を目標としている。
(IR誘致「3つのイス」奪うのはどこだ 大阪、和歌山、長崎、北海道、愛知…バトル過熱 2018/07/21 産経新聞より)
和歌山も善戦していますね!しかし、大阪は万博とセットで誘致を目指しており、強敵ですね。勝てないのでは?と疑問に思いました。でも大丈夫。和歌山県は、大阪と和歌山、両方への誘致に成功させるプランを考えているからです。
(2019年8月22日)横浜もIR誘致を正式表明
横浜市が、正式にIR誘致に名乗りを上げた事で、さらに競争が激しくなりました。強敵現るですね。
和歌山にとって重要なのは、(大阪や横浜の)都市型IRと差別化を図る取り組みですね。リゾート型IRをさらに具現化していく必要が求められそうです。
横浜市の林文子市長は22日の記者会見で、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致に乗り出すことを正式に表明した。
(一部省略)
誘致表明は大阪府・市と和歌山、長崎両県に続き4カ所目。さらに北海道や東京都、千葉市なども誘致を検討している。
(「横浜の飛躍にIRが必要」正式に誘致表明 産経新聞 2019年8月22日)
(2021年9月)横浜はカジノ誘致撤回
2021年8月に横浜市長選挙が行われ、新市長 山中氏は、カジノ誘致反対派だったため、カジノ誘致を撤回したようです。
横浜市の山中竹春市長は10日、市議会での所信表明演説で、カジノを含む統合型リゾート施設誘致について「反対する声にしっかりと応え、撤回を宣言します」と正式に表明した。
横浜市長がカジノ誘致撤回を正式表明(共同通信) – Yahoo!ニュース(2021年9月10日)(リンク切れ)
2021年9月頃公開された和歌山県の資料「和歌山が目指すIR」によれば、和歌山県の他、大阪府市・長崎県が誘致を目指しているとのことです。
他の誘致自治体の状況
大阪府・大阪市
2021年9月28日 大阪府と大阪市は、アメリカの「MGMリゾーツ・インターナショナル」と「オリックス株式会社」の共同グループ「MGM・オリックス コンソーシアム」を選定したと発表しました。
和歌山と大阪のIR比較
和歌山と大阪のIRについて、事業者提案資料を比較してみました。
なお、和歌山県は、(クレアベストの)事業者提案(2021年6月2日)の情報を元にしています。
大阪のIRは、(和歌山のIRと比較すると)初期投資額は2.3倍、目標年間来場数は1.58倍の規模となります。
和歌山 | 大阪 | |
事業者 | クレアベスト(+シーザーズ) | MGM・オリックス コンソーシアム |
初期投資額 | 約4,700億円 | 約1兆800億円(税抜) |
年間来場者数 | 約1300万人 (国内 約1,000万人) (国外 約300万人) | 約2,050万人 (国内約1,400万人) (国外約650万人) |
年間売上 | ー | 約5,400億円 |
経済波及効果 | 約2,600億円 | ー |
雇用者数 | 約14,000人 | 約15,000人 |
納付金・入場料 | 約350億円 (納付金 約230億円/年) (入場料 約120億円/年) | 約1,100億円 (納付金 約770億円/年) (入場料 約330億円/年) |
会議場 | 約4.5万m2 大会議場 3,000人収容 | 約3.7万m2 最大会議室 6,000人超収容 |
展示場 | 約14.3万m2 展示面積約6万m2 | 約3.1万m2 展示面積 2万m2 |
宿泊施設 | 約21万m2 客室数 約2,700室 | 約28.9万m2 約2500室(3つのホテル) |
カジノ | 約3.8万m2 | 約6.1万m2 |
開業時期 | 2027年秋(予定) | 2020年代後半 |
それでは、和歌山県の取り組みについて詳しく見ていきましょう。
和歌山県の最新動向まとめ
(2019/12/10追記)2020年春に事業者公募、秋に事業者決定
国の実施方針次第のようですが、2020年に公募・事業者決定の流れになりそうですね。
和歌山県は10日、誘致を目指している統合型リゾート(IR)について、国の基本方針が2020年1月に決定されれば、20年春までに事業者の公募を始め、秋ごろに事業者を決める方針を示した。
(参考)日本経済新聞 2019/12/10
(2020/02/20追記)県の実施方針案が公表されました
国の基本方針の公表が遅れているため、県の基本方針が出せない状況のようです。
そのため、(基本方針公表前に)県の実施方針案が示されました。これを元に事業者と協議が行われるようですね。
参考 「和歌山県特定複合観光施設設置運営事業実施方針(案)」について和歌山県「設置運営事業実施方針」は国の基本方針の内容に沿って県が策定するもので、IR事業者に求めるものなどを示す。国は基本方針を1月末をめどに発表するとしていたが遅れている。そのため、県は今後の予定に支障を来さないよう、基本方針の公表前に、実施方針を案として作成し、関係者と協議を開始することにしたという。
(2020年5月14日追記)審査書類を提出した事業者はサンシティとクレアベスト
IR推進室の発表によると、「事業者公募における参加資格審査書類」を提出した会社は、以下の2社とのことです。
- サンシティグループ(中国)
- クレアベストグループ(カナダ)
2社とも審査を通過したようです。
参考 「和歌山県特定複合観光施設設置運営事業」の事業者公募における参加資格審査結果の公表について和歌山県 IR推進室(2020年6月1日追記)事業者の提案審査書類の期限が2ヶ月延長に
IR推進室によると、提案審査書類の期限が、(2020年8月末→2020年10月19日に)2ヶ月延長されるようです。緊急事態宣言が出ていた49日間に相当する期間を延長すると説明されています。これにより、事業者選定は2021年1月ごろになりそうです。
参考 「和歌山県特定複合観光施設設置運営事業」提案審査書類の提出期限等の変更について 和歌山県(2020年10月10日追記)国への区域認定申請が9ヶ月延期に
IRの国の基本方針案が新たに示され、国への区域認定申請が9ヶ月延期になる見通しです。区域認定も大幅に遅れることから、2025年万博に合わせた開業が難しくなるかも知れませんね。
従来の案 | 2021年1月4日~7月30日 |
今回の案 | 2021年10月1日~2022年4月28日 |
国は当初、自治体と運営事業者が共同策定した区域整備計画案を来年1月4日~7月30日に受け付け、最大3カ所の開業地域を決めるとしていた。新型コロナ感染拡大によりIR誘致を目指す他の自治体の準備に遅れが出る中、県では和歌山マリーナシティ(和歌山市)への誘致に向け、予定通り進めてきた。
しかし、国は計画案申請期間の来年10月1日~再来年4月28日への後ろ倒しや汚職事件を受けた新たなルールを加えて基本方針案を修正。9日にパブリックコメントを開始した。
県では、IR運営に応募があった2社に、10月19日までに提案書類を出してもらい、来年1月に事業者を選定することにしていた。今回の国の方針案変更を踏まえ、県が実施方針を修正、事業者も提案書類を修正する必要があるため、県は事業者からの提出期限を延期する。新たな期限は後日決定する。
(2020年11月7日追記)2026年春開業を目指す
これまで関西万博前の開業を目指していましたが、国の区域認定が9ヶ月延期されたこともあり、2026年開業を目指すことになりました。これに合わせて、県の事業者からの提案審査書類の提出期限も2020年10月から2021年1月に延期されます。
和歌山県は6日、IR開業時期を当初より1年延ばし、2026年春ごろとする新たなスケジュールを発表した。25年の関西万博には間に合わなくなるが、県の横山達伸企画政策局長は「順調にいけば日本最初のIRを開業できる」と話した。
(一部省略)
県の新スケジュールは、事業者からの提案審査書類の提出期限を10月19日から21年1月15日に、優先権者の選定を21年1月ごろから同年春ごろに変更する。
(2021年1月7日)和歌山県の実施方針が発表される
2021年1月7日、和歌山県の実施方針が発表されました。2026年春開業を目指す、とのことです。2020年12月国の基本方針が発表されたことで、本格的に誘致活動が始まりました。
参考 和歌山県特定複合観光施設設置運営事業 実施方針について和歌山県(2021年5月12日)サンシティグループが辞退
サンシティグループ(中国)が提案審査からの辞退を表明しました。辞退理由は、新型コロナで先行き不透明さ、IR区域認定手続きまでに時間がかかっている中の不透明さを挙げており、事業者としてリスクを感じているためとの事です。
「新型コロナウイルス感染拡大による業界への甚大な影響と、世界中の膨大な数の企業における不確実性は今後も長期にわたり続く恐れがあること、また日本のIR区域認定手続においては、当初の予定よりも大幅に時間を要すると想定される中で、未だに多くの事柄が不透明であることなど、事業者としてのリスクを鑑み、熟考の上で厳しい決断をするに至りました。
和歌山県特定複合観光施設設置運営事業(IR事業) に関するお知らせ | サンシティグループ ホールディングス ジャパン株式会社(リンク切れ)
また、オーストラリアでの資金洗浄疑惑も撤退に影響した可能性がありそうです。
和歌山県のIRをめぐっては当初、「クレアベスト・グループ」(カナダ)と「サンシティ・グループ」(マカオ)の2社が令和2年5月に応募。当初はサンシティが〝本命〟とみられていた。
しかし3年2月、IRを手掛けるオーストラリアで現地当局が資金洗浄疑惑を指摘する報告書を公表。サンシティは関与を否定したが、3年5月、和歌山県のIRから突然の撤退を表明した。
有識者の採点では、1000点満点中サンシティ720点・クレアベスト656点で、サンシティの提案が優勢でした。
ただ、その際に公表した有識者による提案内容の審査では、クレアベストが1000点満点中656点だったのに対し、サンシティは720点と、サンシティの優位が判明した。13の審査項目別にみても、10項目でサンシティの提案が勝っていた。
現在、応募している企業は、クレアベストグループ(カナダ)のみとなりました。
参考 「和歌山県特定複合観光施設設置運営事業」の事業者公募における提案審査参加者の辞退について和歌山県(2021年6月2日)優先権者候補 クレアベスト
和歌山県は、優先権者候補として、クレアベストを選定したと発表しました。まだあくまで候補とのことです。今後、和歌山市・公安委員会との協議を経て、6月中にも優先権者の選定を行うとのことです。
参考 「和歌山県特定複合観光施設設置運営事業」の事業者公募における優先権者候補の選定について和歌山県また、事業者の提案内容も概略が発表されています。
また、具体的な内容は、次のとおりです。(事業者提案の)開業予定時期は2027年秋となっており、(2026年春頃を目指している)和歌山県とズレがあるため、今後スケジュールの見直しがあるのかもしれません。
また、(注目されていた)国際会議場と展示場の規模ですが、日本一の展示場or日本一の会議場ではなく、大規模な会議場・展示場を作ることになっているようです。
(2021年7月20日)優先権者 クレアベストを選定
和歌山県は、和歌山市・公安委員会との協議を経て、優先権者 クレアベストを選定したことを発表しました。
参考 「和歌山県特定複合観光施設設置運営事業」の事業者公募における優先権者の選定について和歌山県1.優先権者として選定する者
クレアベストニームベンチャーズ株式会社及びClairvest Group Inc.のコンソーシアム2.選定の経緯
・2021年1月15日 提案審査書類の提出(2者)
・2021年5月12日 1者から辞退届の提出
・2021年6月2日 優先権者候補を決定
・2021年6月2日 和歌山市及び和歌山県公安委員会への協議開始3.今後の流れ
県と優先権者が共同して、区域整備計画の作成を行う。
その際、提案内容の更なるブラッシュアップ、事業実施体制の強化などを求めるとともに、地元経済の発展や地元雇用の創出等により、地元経済の振興に寄与するため、事業実施体制の強化にあたって、県内事業者が広く参画できるオール和歌山の体制づくりを求めていく。
その上で、地域振興に大きく寄与し、国の観光立国政策に貢献する優れた区域整備計画を作成し、申請期限である2022年4月28日までに国への申請を行う。
(2021年8月25日)クレアベストと基本協定の締結
和歌山県とクレアベストは、IR設置の事業の基本手協定を結びました。
1.優先権者
クレアベストニームベンチャーズ株式会社及びClairvest Group Inc.のコンソーシアム2.基本協定の締結
公募手続に則り、優先権者が和歌山IRを実施する民間事業者として選定されたことを確認するとともに、区域整備計画について国土交通大臣の認定を受け、実施協定締結に至るまでに必要な下記の諸手続などについて定めるもの・優先権者の費用負担に関する事項
・IR事業者の設立に関する事項
・廉潔性の確認に関する事項 など3.今後の流れ
県と優先権者が共同して、地域振興に大きく寄与し、国の観光立国政策に貢献する優れた区域整備計画を作成し、申請期限である2022年4月28日までに国への申請を行う
その際、優先権者に対し、提案内容の更なるブラッシュアップ、事業実施体制の強化などを求めるとともに、地域経済の発展や地元雇用の創出に寄与するため、県内事業者が広く参画できるオール和歌山の体制づくりを求めていく
新型コロナウイルスの感染状況を踏まえながら、説明会等を実施することで、県民の皆様に対し、IRに関する正しい情報や本県がIR誘致を推進する理由を発信していく
(2021年9月30日)米カジノ大手シーザーズが参画
クレアベストのコンソーシアムに、米カジノ大手シーザーズが参画することになりました。
シーザーズは、2019年に日本国内(東京・横浜・大阪・北海道・苫小牧)への進出を撤退した経緯があります。
カジノを含む統合型リゾート(IR)運営大手の米シーザーズ・エンターテインメントは29日、日本でのIR運営のライセンス取得に向けた活動を中止し、日本市場から撤退すると発表した。同社は東京や横浜、大阪、北海道・苫小牧でのIRの開発を目指し、2018年に整備構想案を公表していた。最大市場の米国など既存事業に経営資源を集中させる。
再び、アメリカで実績を上げているシーザーズが加わることで、誘致競争に影響を与えそうです。
シーザーズは1937年設立。2020年末時点で米ラスベガスなどで約50カ所のカジノを運営する。コロナ禍前の19年12月期の売上高は25億ドル(約2700億円)、純利益は8千万ドル(約80億円)だった。同社は一時、大阪や横浜などで日本市場に参入することも検討していた。
(2022年2月9日)県民の意見を聞くパブリックコメント募集
2022年2月9日(水)、IR区域の整備計画(案)が公開され、県民の意見を募集するパブリックコメントが始まりました。
- (2022年2月9日公開)和歌山県特定複合観光施設区域整備計画(案)
- (2022年2月18日公開)和歌山県特定複合観光施設区域整備計画(案)<国申請様式版>
IR区域全体のパースも新たに公開され、コンセプト「和歌浦にそびえ立つ現代の鳥居」となっています。
和歌山IR 統合型リゾートの区域整備計画案のまとめについては、こちらの記事をご覧ください。
和歌山IR 統合型リゾートの区域整備計画案まとめ(2022年4月20日)和歌山県議会で、国への認定申請を否決
区域整備計画を国へ認定申請するためには、地元の議会の同意が必要になります。すでに和歌山市議会は2022年3月30日に可決していましたが、2022年4月20日和歌山県議会で否決されたため、国への認定申請を行えない見通しとなりました。
和歌山県の取り組み
和歌山県IR基本構想(2018年5月発表)
和歌山県は、2018年5月 和歌山県IR基本構想を発表しました。国がIR実施法を閣議決定された後、これまでに準備してきた和歌山のIR構想を発表しました。
こちらのページにある和歌山県IR基本構想(PDF)が分かりやすい資料になっています。
参考 和歌山県IR基本構想を策定しました和歌山県和歌山県の想定スケジュール
和歌山県の想定スケジュールは、以下の通りです。
2022年4月28日までに国へのIR区域認定の申請が行われ、2022年夏〜秋頃 IR区域認定されれば、2027年秋頃 IR開業の流れとなります。
2022年夏〜秋頃 IR区域認定まであとわずかですね。
(参考)過去の想定スケジュール(2021年1月情報)
和歌山県のIR開業スケジュール (2021/01/07 実施方針 概要の資料より)
(参考)過去の想定スケジュール(2019年7月情報)
新型コロナ前の想定スケジュールは、以下の通りでした。
(引用)県民の友2019年7月号 P.5
事業者選定の実施
一つ目のポイントは、「優先権者の選定」ですね。IR説明会で受けた印象は、事業者により、統合型リゾートの形が大きく変わる事です。そのため、事業者が決まることで、具体的な統合型リゾートの形が見えてくるでしょう。
区域認定
二つ目のポイントは、なんと言っても「区域認定」です。全国で3カ所しか認められないため、ここで認められる事が必要になります。
【動画】知事と語る「IR誘致の取り組み」
(2018年6月10日)知事と語る「IR誘致の取り組み」の動画も分かりやすいのでオススメです。
(動画)きのくに21「県政最前線:統合型リゾート(IR)の実現を目指して」(2022年2月20日)
県のIR担当者が、2022年2月に発表した区域整備計画の内容を解説しています。
和歌山県のIR誘致の予算
和歌山県は、IR(統合型リゾート)の誘致にかかる予算を、県民の友に掲載してくれています。決算は見たことないのですが、おそらく予算通り進められているのでしょう。
年度 | 予算額 |
令和4年度 | 816万円 |
令和3年度 | 6,906万円 |
令和2年度 | 7,787万円 |
平成31年度(令和元年度) | 2億3187万円 |
平成30年度 | 6998万円 |
(県民の友 2019年4月号より)
(県民の友 2020年4月号より)
候補地は和歌山マリーナシティに一本化された
県民の友2019年7月号によると、和歌山県の当初候補地は3カ所ありました。
- 和歌山マリーナシティ
- コスモパーク加太(かだ)
- 旧南紀白浜空港跡地
投資意向のある全ての事業者の関心が和歌山マリーナシティに集中したため、候補地と決定しました。
事業者からは、「関西国際空港から近い」「京阪神へのアクセスが良い」「造成済で、すぐに着工が可能」「マリンスポーツ・マリンレジャーの聖地である」ことが高く評価されています。
(引用)県民の友2019年7月号 P.3
事業者から高い評価を受けた「和歌山マリーナシティ」が候補地として、一本化されたのですね。
ちなみに、現在のマリーナシティ周辺の様子は、こちらです。
また、和歌山県IRが検討されているのは、次のエリアになります。
(引用)和歌山県IR基本構想(改訂版) P.25
IR建設・運営は民間事業者の負担
統合型リゾートに莫大な費用がかかるのでは?という疑問がありました。でもこれは、民間事業者の負担なんですよね。
誘致費用も億単位のお金が使われるわけですが、誘致に成功すれば、「カジノ行為粗収益の15%が和歌山県に対して納付される」わけですね。和歌山県IR基本構想によると、この納付金210億円の他、入場料73億円の収入を見込んでいます。
(和歌山県IR基本構想 P.39)
日本一の会議場・展示場を作れるのか?
IR実施法の施行令案では、統合型リゾート内に、非常に大規模な会議場・展示場が求められています。3パターンの中からいずれかの条件を満たす必要があります。
- 日本一の展示場
- 大規模な会議場・展示場
- 日本一の会議場
これらの条件を表にまとめてみました。
最大会議室 | 展示場 | |
1.日本一の展示場 | 1000人~3000人 | 12万㎡ |
2.大規模な会議場・展示場 | 3000人~6000人 | 6万㎡ |
3.日本一の会議場 | 6000人~ | 2万㎡ |
日本の会議場、東京国際フォーラム(最大会議室 5000人)
これだけの規模の会議場・展示場をビジネスとして成り立たせることができるのか、活用していくためには具体的な計画が必要になってくるでしょう。
参考 特定複合観光施設区域整備法施行令(案)の概要(PDFデータ)首相官邸MICE 施設(国際会議場、展示等施設)の設置条件(2020/02/20追記)
県の実施方針(案)によると、MICE 施設(国際会議場、展示等施設)の条件が分かりやすく示されています。
特定複合観光施設区域整備法施行令を踏まえた内容になっている事が分かりますね。
和歌山県が目指すリゾート型IRとは何か?
和歌山県の基本構想では、大阪には「都市型IR」、和歌山には「リゾート型IR」と、異なるコンセプトのIRを作ることが想定されています。
事業者からは近くにある事で相乗効果があげられるとプラスの声がある一方で、全国3カ所という縛りがある中では全国から見ると不公平感が生まれるのでは?という声もあるようです。
IR説明会では、国主催の説明会でも「地域の偏りは関係なし」「事業性からより良いものから3カ所を選ぶ」とはっきり名言されていた、との説明がありました。以下の通り、県民の友でも同様の説明が記載されていました。
法律には「地域バランスを考慮する」との項目はなく、また、国が主催する法律の説明会でも地域バランスは考慮しないとの考え方が示されています。
また、事業者からは「近くに複数あった方が相乗効果があって良い」との意見があり、実際、国がIR導入に向けてお手本の一つとしたシンガポールでは、車で約30分の距離に二つのIRが運営されています。
(引用)県民の友2019年7月号 P.4
こちらの記事も参考になります。
参考 関西に1つとは限らない 羽生田議員が和歌山のIRイベントで語ったことJaIR -日本型IRビジネスレポート-関西圏に2カ所のIR誘致が成功する鍵は、シンガポールの事例にありそうです。次にシンガポールのIRについて見ていきましょう。
リゾート型IRとは何か?
シンガポールには、「マリーナ・ベイ・サンズ」と「リゾート・ワールド・セントーサ」、2つのIR(統合型リゾート)があります。和歌山県はこれを一つのモデルケースとしているようです。
「マリーナ・ベイ・サンズ」は、ここですね!一度は見たことある光景ですね。
- 都市型IR「マリーナ・ベイ・サンズ」
- リゾート型IR「リゾート・ワールド・セントーサ」
他にも、リゾート型IRには、
- パラニャーケ(フィリピン)
- ゴールドコースト(オーストラリア)
があります。
リゾート型IR「リゾート・ワールド・セントーサ」
「リゾート・ワールド・セントーサ」には、ユニバーサルスタジオがあり、世界最大級の水族館、ウォーターパークも楽しそう!ホテルもリゾート感がすごいです。
成功の鍵は、リゾート地ならではのエンターテイメントを用意できるのか、という所にありそうです。
参入予定の事業者について(2019年8月時点)
2019年8月時点で、和歌山のIRに参入を表明していたのは、以下の3社でした。
- サンシティグループ(中国)
- バリエール(フランス)
- ブルームベリーリゾーツ(フィリピン)
和歌山のIRに参入を予定している事業者のプレゼンテーションには、香港のサンシティグループ、フランスのバリエール、フィリピンのブルームベリーリゾーツの3社が参加。
(引用)和歌山でIRシンポ、事業者3社がプレゼンテーション(産経新聞 2019.8.27)
サンシティグループ(中国)では、和歌山の長所「自然・歴史文化・伝統」を活かした、IRを検討されている、との事です。以下の建設イメージを見ると、実感が沸いてきますね。
その後、2020年5月1日付けで、審査書類を提出した事業者は、サンシティ(中国)とクレアベスト(カナダ)と発表されています。バリエール(フランス)やブルームベリーリゾーツ(フィリピン)の応募はなかったという事ですね。
まとめ
和歌山県は、リゾート型IRの誘致を目指していることがわかりました。誘致のための予算規模も大きいため、かなりの本気度を感じます。和歌山ならではのIR(統合型リゾート)の形が今後検討されていくと思います。今後の動向に注目です。